ガンギエイ由来ムチン - 丸共水産株式会社

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多様な機能性を持つ新規ムチン型糖タンパク複合体
GPSM (Glyco Protein of Skate Mucin)
論文
Skate-skin mucin, rich in sulfated sugars and threonine, promotes proliferation of Akkermansia muciniphila in feeding tests in rats and in vitro fermentation using human feces

Takaaki Miyata, Takayasu Mizushima, Nobuyuki Miyamoto, Takahiro Yamada, Koji Hase, Michihiro Fukushima, Naomichi Nishimura, Shingo Hino, Tatsuya Morita
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, Volume 86, Issue 3, March 2022, Pages 397–406, https://doi.org/10.1093/bbb/zbac003
北海道で漁獲されるカスベ(ガンギエイ)は、主にヒレの部分を食用として利用され、北海道および東北地方の一部で古くから食経験があります。
 
エイは魚類のなかでサメと同じ板鰓類に属し、骨のほとんどが軟骨でできております。

 
 かねてより当社ではこの軟骨に着目して産学官の共同で研究開発を実施し、エイ軟骨由来のコンドロイチン硫酸の抽出に成功いたしました。そしてこれらの成果をもとに生産体制を確立し、健康食品等の食品用途に供給を開始しております。

 
 このような背景のもと、ガンギエイに含まれるさらなる機能性物質の研究を進めたところ、このたび非常に多くのシアル酸を含むムチン型糖タンパク質の抽出に成功いたしました。
 
自然界におけるシアル酸のソースは非常に限定され、燕の巣は良い原料でありますが非常に高価で、産業上利用できるものではありませんでした。
シアル酸は糖鎖末端に位置し、免疫細胞の認識機能、ウイルスの感染と防御など、生命活動に非常に重要な物質であることが分かっています。
 
近年ではシアル酸誘導体から抗インフルエンザウイルス薬が開発されています。

 
またムチンの多岐にわたる生理活性も徐々に解明され、その有用性が期待されてきており、ムチン型糖タンパク質には、人々の健康増進に寄与する画期的な素材であると考えられます。
   
特にムチンは胃や腸管表面に粘液層を形成し、消化酵素や腸内細菌の侵襲を防ぐバリア層として非常に重要なものであり、このムチン層と腸内細菌との相互作用によって腸内環境が最適に保たれ、ヒトの健康にとても重要な役割を果たすことがわかってきました。

その具体的な成果として、ガンギエイ由来ムチン(GPSM)が、アッカーマンシア・ムシニフィラを特異的に増殖させるプレバイオティクスとして作用することが解明されました。アッカーマンシア・ムシニフィラの存在は、Ⅱ型糖尿病、炎症性腸疾患、肥満などを抑制するとの報告があり、生活習慣病の治療や予防に効果的であるとの期待が持たれています。

このように多様な機能性を持つガンギエイ由来ムチンは、医薬品や健康機能性食品として多くの可能性を持っている素材です。

機能性研究
■インフルエンザウイルス不活化
 共同研究機関 旭川医科大学医学部微生物学講座

■抗原特異的T細胞の増殖促進 ・・・ 特許第5355682号 抗原特異的T細胞の増殖促進剤
 共同研究機関 北海道大学大学院遺伝子病制御研究所

■アッカーマンシア・ムシニフィラの特異的増殖促進 ・・・ 特許出願中
 共同研究機関 静岡大学農学部応用生物化学科

1,アミノ酸組成
ガンギエイ由来ムチン(GPSM)を過ギ酸分解し、アミノ酸アナライザーで分析した。

スレオニンが特異的に多く、プロリン、グルタミン、セリン、グリシン、アスパラギン酸なども比較的多い。

スレオニン、セリンはo-結合性糖鎖が結合するアミノ酸であり、ムチンとしての特徴をよく表している。
 

2,単糖組成
ガンギエイ由来ムチン(GPSM)をTAF分解し、ABEE標識化したのちHPLCで分析した。
 
シアル酸については、別途、ノイラミニダーゼで遊離させ、N-アセチルノイラミン酸アルドラーゼでマンノサミンに変換してABEE標識化後、C18カラムによるHPLCにて分析した。

ほとんど、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、フコース、N-アセチルノイラミン酸、N-アセチルグルコサミンの5種類で形成されている。
 

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